メディア総合研究所  

メディア総合研究所は次の3つの目的を掲げて活動していきます。

  1. マス・メディアをはじめとするコミュニケーション・メディアが人々の生活におよぼす社会的・文化的影響を研究し、その問題点と可能性を明らかにするとともに、メディアのあり方を考察し、提言する。
  2. メディアおよび文化の創造に携わる人々の労働を調査・研究し、それにふさわしい取材・創作・制作体制と職能的課題を考察し、提言する。
  3. シンポジウム等を開催し、研究内容の普及をはかるとともに、メディアおよび文化の研究と創造に携わる人々と視聴者・読者・市民との対話に努め、視聴者・メディア利用者組織の交流に協力する。
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声明・アピール

鹿児島県警による前生安部長、元巡査長逮捕・起訴と報道機関への家宅捜索に抗議する

2024年07月18日
メディア総合研究所

 
鹿児島県警察本部の不当捜査疑惑を追及してきたインターネット・メディア『ハンター』(福岡市)や、執筆者のジャーナリスト(札幌市)に内部情報を漏洩したとして、県警は元巡査長と前生活安全部長をそれぞれ地方公務員法(守秘義務)、国家公務員法(同)違反の疑いで4月から5月に逮捕。鹿児島地方検察庁も2人を同法違反の罪で起訴した。また、県警は4月に関係先として『ハンター』の事務所を家宅捜索し、業務用のパソコンや取材にかかわる資料を押収した。県警の不祥事を暴こうとした2人の行為は公益通報や内部告発などと呼ばれ保護されるべきであり、家宅捜索は、取材源の秘匿を脅かすもので、憲法が保障する報道の自由の侵害だ。県警と地検及び、捜索差押許可状を発行した裁判官の行為は、公権力をチェックする役割を担う報道機関と取材源との関係を分断し、民主主義社会を破壊する報道弾圧であり、強く抗議する。
『ハンター』は、強制性交疑惑に関わる不当捜査の証拠として、県警が扱った告発事件の処理状況を記した「告訴・告発事件処理簿一覧表」を特報するなどキャンペーン報道を行なってきた。元巡査長の逮捕容疑は、公安課勤務時代に入手した同一覧表を第三者に郵送したこととされ、『ハンター』は関係先として家宅捜索された。その後、押収したパソコンに保存された資料から、3月に退職した前生安部長がジャーナリストに情報提供していたことが判明したという。
 警察や検察による捜査が適正に行なわれているかどうかを取材し、報じることは報道機関の重要な使命であり、民主主義国では、関係者が見聞きした内部の不祥事を公にするために、報道機関に情報を提供する行為は、報道や取材の自由に準じて保護されるべきだと考えられている。こうした原則は法的にも根拠があり、例えば、個人情報保護法は報道の役割に配慮し、民間事業者による報道機関への個人情報の提供については個人情報保護委員会が権限を行使しない旨を定め、公益通報者保護法は外部通報先の一つとして報道機関を想定。最高裁は民事訴訟で、取材源を「職業の秘密」として記者の証言拒否を認めている。
 今回も元巡査長は4月8日の逮捕前に『ハンター』代表に「ウチの組織は腐っていて、外から刺激を与えないと変わらない」(「警察腐敗 内部告発者はなぜ逮捕されたのか」『世界』2024年8月号)と語り(代表は入手先を明かしていない)、前生安部長も6月5日に鹿児島簡易裁判所であった勾留理由の開示手続きで「鹿児島県警職員が行った犯罪行為を、野川明輝本部長が隠蔽しようとしたことがある」と陳述している。不祥事の隠蔽という公共性のある情報を、報道機関を通じて社会に訴えようとする2人の目的に公益性があるのは明らかだ。
地検は、県警による違法な収集手段による証拠に基づいて行なわれた起訴を取り消すべきであり、違法な家宅捜索を行なった県警と許可を与えた裁判官は『ハンター』に謝罪すべきだ。人権を大切にする民主主義社会でこんな横暴がまかり通っていいはずがなく、到底容認できない。
 
以 上