メディア総合研究所  

メディア総合研究所は次の3つの目的を掲げて活動していきます。

  1. マス・メディアをはじめとするコミュニケーション・メディアが人々の生活におよぼす社会的・文化的影響を研究し、その問題点と可能性を明らかにするとともに、メディアのあり方を考察し、提言する。
  2. メディアおよび文化の創造に携わる人々の労働を調査・研究し、それにふさわしい取材・創作・制作体制と職能的課題を考察し、提言する。
  3. シンポジウム等を開催し、研究内容の普及をはかるとともに、メディアおよび文化の研究と創造に携わる人々と視聴者・読者・市民との対話に努め、視聴者・メディア利用者組織の交流に協力する。
Media Research Institute
研究員専用
  • 研究プロジェクトの状況
  • 運営委員会・研究会報告
  • ログイン
維持会員募集
研究所の目的に賛同し、活動を支えてくださる維持会員を募集しています。
維持会費は年間1口1万円。

●維持会員の特典
『放送レポート』(隔月・年6回)、『メディア関連資料』CD版(年2回)が届けられます。また、研究所が行う催しには無料、または割引で参加することができます。
メディア総研の案内パンフレットは下記からダウンロードできます。
メディア総合研究所
160-0008 新宿区三栄町17 木原ビル2F
Tel: 03-3226-0621
Fax: 03-3226-0684
mail@mediasoken.org
 
  • HOME 
  •  < 
  • 声明・アピール

声明・アピール

個人情報保護法案・野党案に対する公開質問状
個人情報保護法案4党実務者会議からの回答

2003年04月21日
メディア総合研究所

個人情報保護法案・野党案に対する公開質問状(2003年4月16日付)
  日本ジャーナリスト会議
  日本出版労働組合連合会
  日本新聞労働組合連合
  日本マスコミ文化情報労組会議
  日本民間放送労働組合連合会
  メディア総合研究所
 
個人情報保護法案4党実務者会議からの回答(2003年4月21日付)
  個人情報保護法案4党実務者会議
  民主党   細野豪志
        山内 功
        内藤正光
  自由党   達増拓也
        平野貞夫
  日本共産党 吉井英勝
  社会民主党 北川れん子
 


 国会に再提出された個人情報保護関連法案について、衆議院に特別委員会が設置され、本格的な審議が始まりました。四野党も共同で対案を提出されましたが、この内容および提出に至る経過について、わたしたちは少なからぬ疑問・不信を抱いています。
 そこで、4月16日に上記六団体の連名で四野党の担当者に対し、個人情報保護法案・野党案に対する公開質問状を提出しましたところ、回答を「個人情報保護法案4野党実務者会議」として、21日にいただきました。
 質問とそれに対する回答はそれぞれ報道発表しています。
 以下に、質問と回答を掲載します。



質問1.衆議院に「個人情報の保護に関する特別委員会」を設置することについて、四野党とも反対する意思を明らかにしていたにもかかわらず、手続きとしてはほぼ全会一致で設置が決まり、本会議場には異議を唱える声はありませんでした。この件について、与党側とどういうやり取りがあったのか、四野党の間ではどういう議論を行ったのか、明らかにしていただきたい。

  回答1.四野党では、公にアピールしていた通り、当初から内閣委員会での審議を与党に求めていました。それは、昨年来、個人情報保護法案に関しては内閣委員会で審議を積み重ねてきたという事実があります。ここで内閣委員会以外の委員会で審議を行うことは、今までの議論を無にすることにつながってしまうからです。また、内閣委員会の委員長は野党が握っており、与党は自らに都合の良い審議運営に懸念を持っていたことから、特別委員会設置を早くから想定していたようです。四野党は、与党のこの強引な手法に対して反対をしていました。
   しかし、四野党が結束して反対しても、与党側は定数35人とする特別委員会の設置を多数決で強引に決定する動きが出てきたため、四野党としては、名よりも実を取るという選択に踏み切ったわけです。すなわち、少数の政党でも複数の委員が入れる45人委員会とすること、十分な審議時間を確保すること、官房長官をはじめ要求大臣の出席を与党にのませることで、四野党は特別委員会の設置やむなしとの態度をとったものです。


質問2.4月1日の「意見交換会」の席では、「各団体からの意見も反映したい」旨の表明がありましたが、出された法案を見る限りではわれわれの意見が反映された形跡がみられません。「意見交換会」から対案の国会提出に至るまで、四野党の間でどのような議論があったのか、明らかにしていただきたい。

  回答2.「意見交換会」の開催を決めた際は、本法案の審議入りの日程がまだ先であると考えていました。そのため、4月1日の時点では、四野党としては、当日集まって頂いた方々の意見をどのように、またどの程度反映して法案を作成できるかを検討しました。もっとも、その時点で、四野党の合意ポイントに基づき、法案作成に着手しており、おおよその形は出来ていたことは否定しません。その上で、皆様のご意見を伺って、四野党が協議をして、皆様の意見をとりいれたほうが良いと考えた内容を可能な限り盛り込んでいく予定ではありました。しかし、翌日になって8日の本会議で本法案の趣旨説明を行うことが決定しました。そのまま、野党案を対案として提出できない場合、与党案だけの審議となってしまうことになり、至急法案としての形を整えて、関連4法案を4月3日に衆議院に提出することとなってしまいました。法案作成は、多大の時間を要する作業であり、結果的に時間切れになってしまい、その時点で最も良いと考える法案を提出することになりました。

質問3.民間を対象にした個人情報保護法案について、なぜ、特定分野ごとの個別法でなく、分野を指定するポジティブリスト方式でもなく、国民一般を対象にした包括法というあらゆる層から批判の強い、政府案と同じ構造の法案としたのでしょうか。少なくともポジティブリスト方式については積極的に導入する考え方だったはずだとわたしたちは認識していましたが、成案の段階でこの考えを採用しなかったことについて、議論の経緯をご説明いただきたい。

  回答3.市民団体などに、個別法を求める声があるのは承知していますし、ご懸念される心情はよく理解できます。とりわけ、廃案となった旧政府案の内容には、私共自身、包括法形式の孕む危うさを感じたところです。そこで、私共は、何とかして、個人情報の実効的な保護と、市民生活の自由の両立を図ろうと検討を重ね、個人情報の保護が特に必要な分野に限り対象事業として法の義務規定を及ぼすというポジティブリスト方式の考え方も検討しました。
   しかし、現実問題として、非常に多様な企業や人々の様々な活動において、ほぼ例外なく個人情報が取り扱われています。例えば、一般消費者向けの製品を製造している製造業者やサービス業の事業者の多くは、顧客リストを保有しており、ほとんどすべての企業が社員の人事管理上の情報を保有していると考えられます。また、いわゆる企業ではなく公益的な活動であっても、日常的に個人情報が取り扱われるケースが存在するのも事実です。例えば、犯罪被害者支援のための団体では、参加者である犯罪被害者のセンシティブ情報を抱えています。悪意の漏洩はないとしても、防護措置が十分でなかったことなどにより漏洩してしまう可能性がないとは言えません。にもかかわらず、仮に、特定の業種のみを規制対象に掲げるポジティブ・リスト方式を採用すると、先に述べたような企業や諸活動の業種、規模の大小を問わず、多くの企業が保有していると思われる個人情報の相当部分が、不当にこの法律の適用対象からはずれる事態が生じ、個人情報の保護の観点から適切でないと考えるに至ったのです。
   そこで、高度情報化の進展の状況の下、個人情報を高度に利用する、すなわち、個人情報データベース等を事業の用に供している者のみを義務規定の対象としつつ、表現の自由等の基本的人権の保障に関しては、第65条で適切な適用除外規定を設けるという方式を採用してバランスを取ることにしました。

質問4.なぜ、「個人情報取扱事業者」として、政府案と同様に、営利・非営利を問わず一般の個人も含むことにしたのでしょうか。これでは労働組合や市民団体、NGO、NPO、弁護士、在野の研究者などが広く規制を受け、強制捜査の対象となり得ますが、これが重大な問題だとは認識されていないのでしょうか。

  回答4.前述の3で述べた通り、本法案は、事業の用に供している者のみを対象としています。事業とは、社会に関わりを持ちつつ、継続・反復して行われる行為を指すものと考えています。従って、個人の趣味や親睦行為は、一般的には事業に当たりません。これに対し、非営利活動として、社会とかかわりをもちながら継続・反復して行われる活動であれば、本法の「事業」に該当します。
   営利活動と非営利活動を区別することの是非についても議論しました。個人情報保護の観点から法案作成を考えとき(ママ)、非営利活動であっても、関係者の個人情報が保有され、日常的に取り扱われるという現実を十分に考慮する必要があり、私たちは、営利企業とNPOの間で個人情報保護に関する法律の適用に差異を設けるべきではないと考えました。例えば、同じ介護サービスの事業を行い、個人情報を取り扱っている以上、営利企業とNPOは共に個人情報の取扱について十分に注意しなければなりません。
   また、刑罰規定については、刑事訴訟法の手続きに基づいた強制捜査がありえますが、それはNPO法第47条においても同様です。本法案で強制捜査の段階までに達するまで深刻な事態が生じたのであれば、本法がなくとも刑法や刑訴法に則って強制捜査が行われることがありえます。
   なお、政府案とは異なり、野党案では個人情報保護委員会を設け、主務大臣から監督権限を切り離すことによりことによって、癒着や恣意的な介入をできる限り排除する仕組みとしています。

質問5.法案で新設する「個人情報保護委員会」の委員の選任については、「内閣総理大臣の任命」としか規定されていませんが、選任委員会の推薦によるなど、選考の手続きを透明化して独立性を高めるべきではないでしょうか。この点について、どういう議論があったのですか。

  回答5.本法案では、個人情報保護委員会の委員長及び委員について、任期を5年と定め、身分保障についても法律で定めており、委員会の独立性には十分配慮しています。
   また、委員長及び委員の任命は国会の同意を得なければならないとしており、その過程で透明性についてもしっかり担保されると考えます。(『個人情報保護法』第5章をご参照ください。)

質問6.法案では、「個人情報保護委員会」について、かりに権限の濫用があった場合、これを救済する仕組みが設けられていません。この点については、どういう議論を経てこのような形になったのでしょうか。

  回答6.野党4党の個人情報保護法は、「個人情報保護委員会は、第三十三条から第三十五条までの規定により個人情報取扱事業者に対し報告の徴収、助言、勧告又は命令を行うに当たっては、表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由を妨げてはならない。前項の規定の趣旨に照らし、個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が、第六十五条各号に掲げる目的で個人情報を取り扱う者に対し、その取扱いに関し個人情報を提供する行為については、その権限を行使しないものとする。」と定めています。(第37条)
   また、個人情報保護委員会は、国会に対し、所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならないとしており、個人情報保護委員会の活動に関しては国会の監視がかかるよう担保されています。(第63条)

質問7.義務規定の適用除外について、まず「報道の用に供する目的」とありますが、ここでは「報道」とはどう定義されるのですか。「報道」と「著述」を例示した理由についてもお答えください。

  回答7.報道とは社会通念上の概念であることから、野党案では法律の条文上明確に定義することは控え、第65条の第1号から第3号までの規定により、広く報道の自由・表現の自由を保障する仕組みにしています。
   また、第37条において、第三者機関である個人情報保護委員会の活動について、表現の自由、学問の自由、信教の自由及び政治活動の自由を妨げてならない旨、入念に規定しています。

質問8.センシティブ情報の扱いについて、行政機関に対する法規制と、民間に対する法規制の間にほとんど相違が見られません。行政機関の利用については民間より例外の余地を厳格にするなど、禁止原則をもっと徹底すべきではないでしょうか。

  回答8.行政機関に対しては、センシティブ情報を例外規定に基づいて取り扱う場合であっても、情報公開・個人情報保護審査会の意見を聴く仕組みとしており、民間よりも例外の余地を厳格に限定しています。(『行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案』第3条をご参照ください。)

質問9.行政機関の法案に新設されたデータ・マッチングに関する規定について、「電子計算機による照合」に絞った理由は何でしょうか。また、「配慮しなければならない」という規定では実効性が薄いと思われますが、どういう議論があったのでしょうか。

  回答9.データマッチングに関しては、目的外利用の制限で足りるという考え方もありますが、電子計算機を用いて、目的外利用がなされた場合の被害は特に甚大なものとなるおそれがあるので、入念な規定が不可欠と考え、慎重に慎重を期して、データ・マッチングに関する規定を設けました。
   なお、野党案では目的外利用に際しては、情報公開・個人情報保護審査会の意見を聞かなければならないことや、利用目的以外の目的等を記録しておかなければならないと定めており、政府案に比べて厳格な内容となっています。(『行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案』第10条をご参照ください。)

質問10.行政機関の法案の罰則規定について、昨年の「防衛庁情報公開請求者リスト作成問題」にみるような官庁の組織ぐるみによる行為については、野党案をもってしても政府案と同様、処罰できないことになってしまうと思われます。どういう議論を経てこういう規定になったのでしょうか。

  回答10.野党案では政府案よりも行政機関の職員に対する刑罰規定を厳しく規定しており、それによって組織的な違反行為を抑止する効果が発揮されることをも期待しています。(第55、56条)