メディア総合研究所  

メディア総合研究所は次の3つの目的を掲げて活動していきます。

  1. マス・メディアをはじめとするコミュニケーション・メディアが人々の生活におよぼす社会的・文化的影響を研究し、その問題点と可能性を明らかにするとともに、メディアのあり方を考察し、提言する。
  2. メディアおよび文化の創造に携わる人々の労働を調査・研究し、それにふさわしい取材・創作・制作体制と職能的課題を考察し、提言する。
  3. シンポジウム等を開催し、研究内容の普及をはかるとともに、メディアおよび文化の研究と創造に携わる人々と視聴者・読者・市民との対話に努め、視聴者・メディア利用者組織の交流に協力する。
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声明・アピール

電波法の一部改正についての見解

2000年05月10日
メディア総合研究所

 メディア総合研究所は、先月19日、衆議院逓信委員会の審議において賛成多数で可決された「電波法の一部改正案」に、強い疑念を表明します。

 同改正案には「免許の承継」を規定する電波法第20条の改正が含まれており、その提案理由には「企業組織の再編成の円滑な実施に資するため、現在、無線局の免許人の地位の承継ができるとされている相続、合併等の場合に加えて、事業譲渡の場合においても、郵政大臣の許可を受けて、免許人の地位を承継できることとする」と説明されています。

 放送免許は、国民の共有財産である電波を利用する免許であり、法制度にしたがって付与されるものです。現行法では、放送局が「分社化」すれば、当然ながら、利用している周波数を社会にいちど返上することになるはずです。しかし、今回の法改正では、新規に免許を得ることに比べ、放送電波の譲渡についての明確な審査基準がないため、郵政大臣の恣意的判断で「事業譲渡」が決定されることになります。

 放送普及基本計画を規定した放送法第2条の2には、「郵政大臣は、放送の計画的な普及及び健全な発達を図るため、放送普及基本計画を定め、これに基づき必要な措置を講ずるものとする」と明記されています。また同条の第3項には「放送に関する技術の発達及び需要の動向、地域の自然的経済的社会的文化的諸事情その他の諸事情を勘案して(同計画を)定める」とあり、さらに同条第4項には「郵政大臣は、前項の諸事情の変動により必要があると認めるときは、放送普及基本計画を変更することができる」とあります。

 この放送普及基本計画にある「放送の計画的な普及及び健全な発達」との関係で見ると、今回の改正案における放送免許の「事業譲渡」は、基本的な審査基準もないままに枠組みだけをまず決定するもので、基本計画の破綻というほかありません。審査基準等の適正な法的手続きを明示することをせずに、今回の改正のように放送免許行政の根本を変えることは、拙速かつ民主主義を愚弄するものといわざるを得ません。

 また、今回の改正案やその提案理由などが郵政省のホームページに一切掲載されないまま、先の衆議院逓信委員会での審議となったことも問題です。たしかに、昨年11月30日に公表された郵政省の「電波法制のあり方に関する懇談会」(座長・多賀谷一照千葉大教授)の報告書に、「免許の承継を認めないことは、事業譲渡による企業再編の阻害要因になり得る」と改正案のねらいと同一の結論が記されていますが、この報告書の結論は既存放送事業者の利益しか念頭にないもので、放送法第2条の2の第2項第1号の「放送による表現の自由ができるだけ多くの者によつて享有される」とした原則とも矛盾するものです。

 デジタル時代を迎え、放送事業の再編は不可避であるとしても、言論機関の多様性をどう維持していくのかの視点がなければ、立法府は「電波法改正」ではなく、「メガメディア主導の放送再編と不採算メディアの切り棄て計画」に加担していることになります。市場原理を掲げつつ、行政が独断で放送の将来像を決定することは、放送法の規定する原則に反します。

 さらに、地上放送の新規免許申請がほぼなくなる中で、こうした譲渡・分割での郵政当局の行政権限が新たに加わることは、規制緩和に名を借りた行政権限の拡大と言わざるを得ません。

 こうした問題ある改正が市民不在のまま、拙速で進められていいわけがありません。参議院での審議が衆議院同様に短時間で採決されることになれば、取り返しのつかない事態をこの社会に与えることになります。参議院では以上の疑問や矛盾が氷解するまで、慎重なる審議を期待します。

  以上